月夜に飛ぶ


思えば

わたしはいつも何かを強烈に表現しているとき

そのほとんどが凄まじい怒りや憤りと共に在った。


紺碧の青空へ舞い上がっていけるほどの歓びのときもある。

それでも

身が引きちぎられるように鋭くて、

臓器という入れ物が抉られるような痛みに耐えながら、

どこから出てくるのかわからなくなりながら

『ことば』らしい道具を必死に使いこなそうとすることの方が多い気がする。



そのエネルギーの矛先に標的はない。


天空を貫くレーザーのように、

それは何処へともなく鋭くまっすぐに突き抜ける。

ふと見上げると空に残った飛行機雲のように、
たまたまその痕を見つけた誰かがいるかもしれない。

放った光線がいつか何万光年もかけて銀河に浮かぶあるひとつの惑星に行き着くように、
だれかのこころに行き着くかもしれない。

どちらであってもなくてもいい。

ただただわたしはこの自分という存在に堪えきれなくなっているだけだ。

堪らなくなって、

ピカッと光を放って遠くで名も知らない星の寿命が尽きるように

わたしはこのエネルギーを放つ。


前向きだとか後ろ向きだとか

明るいとか暗いとか

ポジティブとかネガティブとか

そういうことじゃない。


そんな『なにか』に分類できたり仲間入りできさえすれば

幾らかこのさみしさも紛れるかもしれない。

形容できることがないから、

いつも途方に暮れるんだ。


それはきっと『それ』がこれ以上ないほど純度の高い「自分」ということなんだろう。

己というものがこんなに混沌としている事実は、

きっと、

本来誰もが等しい事実だと思っている。





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囚われて見失い

迷い

疑い

罵り

諦め

怨み

これまで見たこともないそういう者たちと在った。

正確には、「在る」。


この春のうららかな風に靡いて揺れるように

ふいに

透明な、なつかしい風のなかに吹かれているようにもなる。


どうしたらと思いあぐね

底の無い沼にゆっくりゆっくり沈んでいくように

ただただ息が続くのを

真っ黒の天から蜘蛛の糸でも降りてはこないかと見上げていた気がする。





この世界が変わっていく



できごと | コメント:0 | トラックバック:0 |



ほんとうに大昔

鼻の頭をかすめたことがあったかもしれないくらい微かな記憶

その夢のような現実味の無い日常の中で

奇跡のように

それは当たり前に空気を満たしていた。


いま それが

こうして自分の手の中にあるなんて






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